この記事の3行まとめ
- PRの成否はMarket(誰に)・Media(どのように)・Message(何を)の3つが一貫しているかで決まる。
- 3Mがズレていると、どれだけ発信してもターゲットには一切届かない。
- 「悪い例」もターゲットを変えれば「良い例」に化ける。視点の転換がPR設計の鍵。
こんにちは。
前回はターゲットの決め方を解説しました。「誰に売るか」が明確になった。では次に考えるべきは何か。
そのターゲットに、どうやって、何を届けるかです。
SNSを頑張っている。ブログも書いている。広告も出してみた。なのに反応がない。そういう人は、発信量が足りないのではなく、3つの要素がバラバラになっている可能性が高い。
今回紹介する「3M」は、ターゲットに対して一貫させるべき3つの要素のフレームワークです。これを知ると、PRや集客の「何がズレているのか」が一発でわかるようになります。
1. PRが届かない「本当の原因」
「発信しているのに反応がない」という悩みを持つフリーランスはとても多い。でもその原因を「もっと頑張らなきゃ」「量が足りない」と考えるのは危険です。
PRが届かない本当の原因は、たいてい「伝える相手」「伝える手段」「伝える内容」のどれか、または全部がズレていることにあります。
考えてみてください。高校生にビジネス書の広告を出して響きますか? 新聞に「成績が上がる!」と載せて、高校生がそれを読みますか?
響かないですよね。でも、自分のビジネスになると案外これをやってしまう。ターゲットが見ていないメディアで、ターゲットが欲しくない情報を一生懸命発信している。これでは量を10倍にしても結果は出ません。
2. 3Mとは何か
3Mとは、ターゲットに対して一貫させるべき3つの要素のことです。
- Market(誰に対して)
- Media(どのように届けるか)
- Message(何を伝えるか)
この3つがターゲットに対して一貫しているとき、PRは機能します。逆に、どれか1つでもズレていると、どれだけ発信しても空振りになる。
Market(誰に対して)
前回のターゲット設定で決めた「誰に売るか」がそのままMarketです。ここが曖昧だと、MediaもMessageも定まりません。マーケットインの発想で、まず顧客起点で考えることが大前提です。
Media(どのように届けるか)
ターゲットが普段何を目にしているかで決まります。SNS、YouTube、ブログ、メルマガ、チラシ、新聞、ビジネス書……選択肢はたくさんありますが、重要なのは「自分が使いたいメディア」ではなく「ターゲットが日常的に触れているメディア」を選ぶことです。
フロントエンド・バックエンドの設計においても、最初の接点(フロントエンド)をどのメディアで作るかはMedia選定と直結します。
Message(何を伝えるか)
ターゲットが何を欲しているかで決まります。機能やスペックではなく、ベネフィット(顧客にとっての価値)で語ること。そしてUSP(あなただけの強み)が伝わるメッセージであること。
ターゲットが普段何を目にし、何を欲しているかを的確に捉えることが重要です。
3. 良い例と悪い例で比較する
大手予備校のPRを例に、3Mが一致している場合とズレている場合を比較してみましょう。
3Mが一致している例
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| Market | 高校生 |
| Media | SNS(Instagram・TikTok・LINE) |
| Message | 「成績が上がる」「彼女ができる」「すべてうまく行く」 |
ベネッセの勧誘DMを見たことがある人は多いと思います。勉強してから志望校に受かって、彼女ができて、友達ともうまく行って、すべてが好転する中高生のストーリーが描かれている。
あれはまさに3Mの教科書です。高校生がいる場所(SNS・DM)で、高校生が欲しいもの(成績・恋愛・友人関係)を語っている。だから刺さる。
3Mがズレている例
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| Market | 高校生 |
| Media | 新聞、ビジネス書 |
| Message | 「授業料が安い」「ローン可能」 |
高校生は新聞を読まない。ビジネス書も読まない。そもそも「授業料が安い」「ローン可能」は高校生の関心事ではない。MediaとMessageがターゲットに対して合致していないので、全くPRにならない。
両者を並べるとこうなります。
| 良い例 | 悪い例 | |
|---|---|---|
| Market | 高校生 | 高校生 |
| Media | SNS・DM | 新聞・ビジネス書 |
| Message | 成績UP・恋愛・充実 | 授業料・ローン |
| 結果 | 刺さる | 完全に空振り |
Marketは同じ「高校生」なのに、MediaとMessageが変わるだけで結果は天と地ほど違う。これが3Mの威力です。
4. ターゲットを変えれば「悪い例」も「良い例」に変わる
ここが3Mの面白いところです。
さっきの「悪い例」——新聞・ビジネス書で「授業料が安い」「ローン可能」と訴求する。高校生には全く刺さらない。でも、ターゲットを「子供を良い学校に行かせたい親」に変えるとどうなるか。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| Market | 子供の教育に投資したい40〜50代の親 |
| Media | 新聞、ビジネス書、教育系雑誌 |
| Message | 「授業料が安い」「ローン可能」「コスパの良い教育投資」 |
急にマッチしますよね。
親は新聞を読む。ビジネス書を読む。そして「授業料がいくらか」「分割払いができるか」は親にとって切実な関心事です。高校生にとっては無関心な情報が、親にとっては意思決定の決め手になる。
つまり「悪いPR」というものは存在しない。「ターゲットとズレたPR」が存在するだけです。
「でもそんなの、ターゲットごとにメディアもメッセージも全部変えるなんて大変じゃないか」と思うかもしれません。確かに手間はかかります。でも、3Mを揃えずに100回発信するより、3Mを揃えて10回発信する方が結果は出る。労力は減るんです。
5. 3Mを自分の事業に当てはめる
ここまでの話を、自分のビジネスに落とし込んでみましょう。以下の3つを書き出してください。
- Market:あなたのターゲットは誰か?(ターゲットの決め方で設定した人物像)
- Media:そのターゲットは普段、何を見ているか? どこに時間を使っているか?
- Message:そのターゲットが今、一番欲しいものは何か? 一番避けたいことは何か?
書き出したら、今の自分の発信と照らし合わせてください。
- ターゲットが見ていないメディアで発信していないか?
- ターゲットが欲しくない情報を発信していないか?
- 「自分が発信したいこと」と「ターゲットが受け取りたいこと」がズレていないか?
3つ目が一番多い失敗パターンです。自分が語りたいことではなく、ターゲットが聞きたいことを語る。これが3Mの本質です。
売り上げを練り上げる3要素で解説した「集客」のステップは、まさにこの3Mがベースになっています。集客がうまくいかないときは、量の問題ではなく3Mのズレを疑ってください。
6. まとめ
というわけで、3M(Market・Media・Message)について解説しました。
- 3Mとは「Market(誰に)・Media(どのように)・Message(何を)」の3つをターゲットに対して一貫させるフレームワーク
- 3つのうち1つでもズレると、PRは届かない
- 「悪いPR」は存在しない。「ターゲットとズレたPR」が存在するだけ。ターゲットを変えれば同じMediaとMessageでも機能する
- PRがうまくいかないときは、量を増やす前に3Mの一貫性を点検する
3Mが揃ったPRは、少ない発信でも確実にターゲットに届きます。逆に3Mがバラバラなまま量だけ増やしても、それは砂漠に水を撒いているようなもの。まず3つを揃えることに集中してください。
次回は、事業がうまくいかないときに「やめる判断」をどうするか——撤退・損切りについて解説します。

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