05. USP:競合だらけの市場で「あなただけ」が選ばれる理由

05. USP:競合だらけの市場で「あなただけ」が選ばれる理由

この記事の3行まとめ

  1. USP(Unique Selling Proposition)とは、「独自の売り」「顧客に対する独自の提案」のこと。
  2. 差別化の鍵は、強者(大手)が捨てた「弱点」を攻めること。LCCは大手航空会社のサービスを「捨てる」ことで独自の強みを作った。
  3. 「ターゲット × 提供価値」を絞り込むことで、小さな事業者でも大手に勝てる領域が見つかる。

1. 導入:なぜ、あなたのサービスは比較されてしまうのか?

「A社はもっと安いけど、お宅はどうなの?」
「似たようなサービスがいっぱいあって違いがわからない」

もし顧客からこう言われたことがあるなら、それはあなたのビジネスにUSP(Unique Selling Proposition)がない、あるいは伝わっていない証拠です。
USPがない状態では、顧客は判断基準を「価格」にするしかありません。その結果、不毛な価格競争に巻き込まれ疲弊していくことになります。

この記事では、競合ひしめく市場の中で「価格以外の理由」であなただけが選ばれるための独自の強み(USP)の作り方を解説します。

セカヤサ
セカヤサ
圧倒的なかつ独自の価値を提供して、そもそも比較されないポジションを獲得するのが重要です。

2. USPとは何か?(ロッサー・リーブスの定義)

USPは、アメリカの広告業界の巨匠ロッサー・リーブスが提唱した概念です。
単なる「強み」や「特徴」ではなく、以下の3つの条件を満たすものを指します。

  1. 顧客への具体的な提案があること(「この商品を買えば、あなたはこうなる」)
  2. 競合他社が提案していない、あるいは提案できないものであること(独自性)
  3. 大衆を動かすほど強力であること(市場性)

有名な例として、ドミノ・ピザの創業時のUSPがあります。

「熱々で美味しいピザを30分以内にお届けします。間に合わなければ代金はいただきません」

当時、「ピザの宅配は遅くて冷めているのが当たり前」だった市場に対し、ドミノ・ピザは「味」ではなく「スピード(と保証)」という独自の提案をぶつけ、爆発的に成長しました。


(参考リンク:USPとは?ドミノ・ピザの事例から学ぶ、独自の強みの作り方|グロービス経営大学院

3. ケーススタディ:LCC(格安航空会社)のUSP

USPを作る最も確実な方法は、「何かを強烈に捨てること」です。
航空業界におけるLCC(Low Cost Carrier)とFSC(Full Service Carrier:JALやANAなど)の比較を見てみましょう。

項目FSC(JAL・ANA)LCC(ピーチ・ジェットスター等)
ターゲットビジネスマン、富裕層学生、若年層、旅行者
価格高い圧倒的に安い
機内食・飲料無料(フルサービス)有料(または無し)
座席ゆったり狭い(効率重視)
荷物無料預け入れ可有料、制限厳しい

大手の「強み」は「弱み」になる

JALやANAにとって、「手厚いサービス」や「ゆったりした座席」は強みです。しかし、それは同時に「高コストになりがち」という弱みでもあります。
LCCは「移動さえできればいい」という層にターゲットを絞り、「サービスや快適さを捨てる」ことで、大手には絶対に真似できない「圧倒的な低価格」というUSPを実現しました。

ここから学べる教訓は、「全ての人に好かれようとすると、誰にとっても特徴のない商品になる」ということです。

4. USPは中小企業・弱者のための戦略である

「独自の売りなんて、大企業だから作れるんじゃないの?」
そう思うかもしれませんが、実は逆です。USPこそ、中小企業や後発組(弱者)が生き残るための必須ツールです。

これは「ランチェスター戦略(弱者の戦略)」の考え方に基づいています。
資金も人員も豊富な大手企業(強者)は、幅広いターゲットに、平均的に質の高いサービスを提供することでシェアを取ります(総合力勝負)。
ここで真正面から戦っても、資本力で負けます。

だからこそ、弱者は「大手が手を出しにくい(採算が合わない)小さな領域」に特化し、そこで圧倒的なNo.1になる必要があります。
USPとは、言い換えれば「大手が捨てざるを得ない市場を拾うための旗印」なのです。

セカヤサ
セカヤサ
実際僕らのようなフリーランスは、上の定義で言えば明らかに弱者です。だからこそターゲットに刺さるUSPを練り上げなければなりません。

参考リンク:ランチェスター戦略とは?ビジネスの戦いに勝つ法則と実践方法を解説(ツギノジダイ)

5. USPを作る3ステップ:強者の弱点を突く

フリーランスや小規模事業者がUSPを作るためのステップです。

Step 1: ターゲットを極限まで絞る

「誰でも歓迎」はやめましょう。「誰の悩み」を解決したいのか?

  • × 美容室
  • くせ毛に悩む40代女性専門の美容室

Step 2: 競合(大手)の「当たり前」を疑う

業界のリーダーが提供している「当たり前のサービス」の中で、ターゲットにとって不要なものはありませんか?

  • 大手: 豪華な内装、多数のスタッフ、幅広いメニュー
  • あなた: 完全個室、マンツーマン、メニューは1つだけ

Step 3: 独自の提案(約束)を言語化する

絞り込んだターゲットに対し、捨てたことで生まれた価値を提案します。

  • 「スタッフの入れ替わりが激しい美容室に疲れたあなたへ。オーナーの私だけが、あなたの髪を一生担当します」

6. フリーランスのUSP事例

Web制作のフリーランスを例に考えてみましょう。

(※これはあくまで分かりやすい一例です。実際にはもっと多種多様な切り口があります)

  • 一般的な制作会社
    • 強み: デザインが綺麗、機能が豊富、サポート体制が充実
    • 弱点: 価格が高い、担当者がコロコロ変わる、融通が利かない、スピードが遅い
  • あなたのUSP(ニッチ戦略)
    • ターゲット: 「急ぎでLP(ランディングページ)が必要な個人起業家」
    • 捨てるもの: 凝ったデザイン、複雑な機能、対面打ち合わせ
    • 独自の提案: 「原稿をいただいてから3日以内に納品。スマホで見やすいシンプルなLPを、業界最速で作ります」

これなら、デザイン力で大手に勝てなくても、「スピード」を求める顧客にとっては、大手よりもあなたの方が「魅力的な選択肢」になります。

セカヤサ
セカヤサ
大手が出来ていること、出来ていないことをしっかりリサーチしておくとどこを狙うと良さそうかが見えてきます。

7. まとめ

  • USPとは、顧客に対する「独自の提案(約束)」である。
  • 差別化とは「何かを足す」ことではなく、「何かを捨てる」ことから始まる。
  • 大手が捨てられないもの(高コストなサービス、幅広いターゲット)を捨て、身軽になることで、ニッチな市場の勝者になれる。

次回は、ここまでの戦略を実行するために必要な、「エキスパート」としての立ち位置について解説します。
「実績がない自分なんかが、専門家を名乗っていいのだろうか?」という不安を払拭する考え方です。

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