この記事の3行まとめ
- いきなり本命商品を売ろうとするのは、初対面でプロポーズするようなもの。まずは「信頼」を獲得するのが先決。
- フロントエンド(集客商品)で赤字覚悟で顧客を集め、バックエンド(収益商品)で利益を回収する。
- この「2段階」の仕組みを持つことで、競合よりも高い広告費をかけても利益が出る「負けない経営」が実現する。
1. 導入:なぜ、あなたの本命商品は売れないのか?
「最高の商品ができた!これを売れば儲かるはずだ!」
そう意気込んでWebサイトを作り、広告を出しても、全く売れない…。
これは多くの事業者が陥る典型的な失敗パターンです。なぜ売れないのでしょうか?
商品が悪いからではありません。「手順」が間違っているからです。
見ず知らずの相手からいきなり数万円、数十万円の商品を買うのは顧客にとってリスクが高すぎます。
恋愛に例えるなら、初対面の相手にいきなり「結婚してください(高額商品を契約してください)」と迫っているようなものです。まずは「お茶(低額商品・無料体験)」から始めて関係性を築く必要があります。
この「関係構築」と「収益化」を明確に分ける戦略こそが、「フロントエンド・バックエンド」の考え方です。
2. フロントエンドとバックエンドの違い
マーケティングの世界では、商品を役割ごとに以下の2つに分類します。
| 項目 | フロントエンド商品(集客商品) | バックエンド商品(収益商品) |
|---|---|---|
| 役割 | 見込み客を集める、信頼を作る | 利益を上げる、LTVを最大化する |
| 価格 | 無料、低価格、お試し価格 | 中価格、高価格、定価 |
| 利益 | 赤字でもOK(広告費と相殺) | ここですべて回収する |
| ハードル | 極めて低い(誰でも試せる) | 信頼関係ができているので低くなる |
成功事例:マクドナルドの仕組み
マクドナルドのビジネスモデルも、この構造で説明できます(諸説ありますが、概念的な理解として)。
- フロントエンド:100円コーヒー、ハンバーガー
- 「安いから行こう」と来店を促す。ここでは利益はほとんど出ない(むしろ広告塔)。
- ハッピーセットのような商品も利益目的というよりは集客目的です。
- バックエンド1(店舗レベル):ポテト、ドリンクのセット
- 利益率の高い商品をセットで買ってもらうことで、店舗としての利益を残す。
- バックエンド2(本部レベル):フランチャイズ事業と不動産賃貸
- 実はマクドナルド本部の真の収益源は、ハンバーガーの売上ではなく、加盟店からの「ロイヤリティ」と店舗物件の「賃料収入」です。
- 「安くて美味しいハンバーガー屋」という最強のフロントエンドで世界中から集客し、そのブランド力を借りたいオーナーから安定収益を得る。これが世界一のファストフードチェーンの裏側にある「負けない仕組み」です。
もしマクドナルドが「利益率の高いセットメニューしか売りません」と言ったら、客足は遠のくでしょう。
「入り口は広く、奥は深く」が鉄則です。

3. なぜ「2段階」にすると売上が伸びるのか?
「最初から利益が出る商品を売った方が効率的では?」と思うかもしれません。
しかし、心理学の観点からも2段階に分けた方が最終的な成約率は高くなります。
① 返報性の原理(「もらいっぱなし」は気持ち悪い)
人は他人から何か施しを受けると、お返しをしなければならないという感情を抱きます。
無料で有益な情報やサンプル(フロントエンド)を提供されると、顧客は「ここまでしてくれたんだから、次は何か買ってみようかな」という心理になります。
逆に言えば、「何か施しを受けた」を思ってもらえなければフロントエンド商品足り得ないということです。ちゃんと記憶に残ってもらう程度の価値を提供しなければなりません。
参考書籍:『影響力の武器』ロバート・B・チャルディーニ著
② 一貫性の原理(一度決めたら貫きたい)
人は自分の行動や発言に一貫性を持たせようとする性質があります。
一度「この店の商品を試した(フロントエンドを購入した)」という行動をとると、その後の「本商品を買う(バックエンド)」という行動への心理的ハードルが下がります。
「私はこの店を選んだ顧客だ」という自己認識が生まれるためです。
参考書籍:『影響力の武器』ロバート・B・チャルディーニ著
4. フリーランスの実践的ステップ
あなたがWeb制作やコンサルティングなどのサービス業をしている場合の具体的な設計例です。
Step 1: フロントエンド(集客)を作る
利益を度外視し、「圧倒的な価値」を「驚きの低価格(または無料)」で提供します。
ここで手を抜くとバックエンドには繋がりません。「無料でここまでやるの!?」と驚かせるのがポイントです。
- 無料相談・診断: 「あなたのWebサイトの改善点診断レポート(通常3万円相当)を無料プレゼント」
- 低価格セミナー: 「3000円で学ぶ、集客できるブログの書き方講座」
- お試しプラン: 「最初の1記事は半額で執筆します」
「顔出し」
「文章中で、自分があなたに情報を提供したことをアピールする」
「SNSであればフォローを促す」
などの施策を意識しておく必要があります。
Step 2: 信頼関係を構築する(教育)
フロントエンドを手にした顧客に対し、フォローアップを行います。
メルマガや公式LINE、あるいは診断結果の解説などを通じて「この人は信頼できる専門家だ」という確信を持ってもらいます。
Step 3: バックエンド(収益)を提案する
信頼関係ができている状態で、本当に売りたい商品を提案します。
- 月額保守契約:「診断で見つかった課題を、月額5万円ですべて解消します」
- 高額講座・コンサル:「半年間のマンツーマン指導で、ブログ集客を完全に仕組み化します」
- 継続発注:「品質にご満足いただけたなら、月4本の定期契約を結びませんか?」
5. アクションプラン
あなたのビジネスに「2段階」の仕組みを導入しましょう。
- バックエンド(本命)を決める:あなたが一番売りたい、利益率の高い商品は何ですか?(例:30万円のWeb制作)
- フロントエンド(入り口)を考える:その本命商品に興味を持つ人が、最初に「試してみたい」と思う小さな商品は何ですか?(例:無料のサイト診断、500円のワンコイン相談)
- LTV(顧客生涯価値)を計算する:バックエンドが売れるなら、フロントエンドで多少赤字が出ても回収できることをシミュレーションしてください。
「損して得取れ」は、経営の真理です。
目先の利益を捨てて「顧客リスト(見込み客)」を獲得できる人が、最終的な勝者になります。

6. まとめ
- いきなりバックエンド(本命)を売るのは、ギャンブルに近い。
- フロントエンド(集客)で心理的ハードルを下げ、信頼を獲得する。
- 利益は後から回収する(LTV思考)。この余裕が「負けない経営」を作る。
さて、フロントエンドで集めた顧客に対して、私たちは「他とは違う」と認識してもらう必要があります。
次回は、競合ひしめく市場であなただけが選ばれるための「独自の強み(USP)」の作り方について解説します。
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