20. 経営者がやるべき4領域:経営戦略・マーケティング・ファイナンス・PRを自分でやる理由

20. 経営者がやるべき4領域:経営戦略・マーケティング・ファイナンス・PRを自分でやる理由

この記事の3行まとめ

  1. 経営者が担うべき領域は「経営戦略・マーケティング・ファイナンス・PR」の4つ。
  2. 外部に任せるとコストが膨大になるうえ、経営の主導権を握られるリスクがある。
  3. リファラル採用でコストを解決しても、主導権リスクは消えない。だから自分でやる。

こんにちは。

フリーランスや副業で事業を始めると、やることの多さに圧倒されます。戦略を考え、顧客を集め、お金を管理し、発信もする。「全部一人でやるなんて無理でしょ」と思うかもしれません。

でも、やるんです。

今回は、第1回で「経営とは何か」を学んだ先にある話——経営者が自分自身で担うべき4つの領域と、それを外部に任せてはいけない理由について解説します。

1. 経営者が担うべき4つの領域

経営者がやるべきことをざっくり分類すると、以下の4領域に整理できます。

領域役割具体例
経営戦略会社の資源をどう活用して持続的に利益をあげるか事業計画、ポジショニング、参入領域の決定
マーケティング顧客の購買活動に関わるすべて市場調査、商品設計、価格設定、販売チャネル
ファイナンスお金の管理収支管理、資金繰り、投資判断、利益計画
PR見込み客を獲得する集客方法SNS発信、広告運用、コンテンツ制作、ブランディング
経営者が担うべき4つの領域 経営者 = あなた 経営戦略 資源をどう活用し持続的に利益を上げるか マーケティング 顧客の購買活動に関わるすべて ファイナンス お金の管理・経理・財務 PR 見込み客を獲得する集客方法 この4領域を他人に任せると「コスト問題」と「主導権リスク」が発生する

これら4つはそれぞれ独立しているように見えますが、実際には深く絡み合っています。戦略がマーケティングの方向を決め、マーケティングの成果がファイナンスに反映され、PRが新たな顧客との接点を作り、その結果が次の戦略にフィードバックされる。

第2回の売上の方程式で「客数 × 単価 × 購入回数」を学びましたが、この方程式のどのレバーを引くかは「マーケティング」の判断であり、その結果を数字で追うのが「ファイナンス」であり、全体の方針を決めるのが「経営戦略」であり、客数の入り口を作るのが「PR」です。4つが噛み合って初めて事業は回る

2. 「できる人を仲間にすればいい」のか?

ここまで読んで、こう思った人もいるんじゃないでしょうか。

「全部一人でやるなんて大変すぎる。できる人を仲間にすればいいのでは?

気持ちはわかります。でも、安易に他人に任せるのは避けておきたい。理由は大きく2つあります。

理由①:お金がかかる

上記4領域はいずれも経営において極めて重要な機能です。つまり、それを担える人材は「高い」

たとえばマーケティングの専門家を転職市場から採用するとしたら、年収500万〜800万円は覚悟が必要です。ファイナンスの知見がある人材も同様。フリーランスの売上規模でこの人件費を賄えるでしょうか。

前回の利益と粗利で「原価が増えれば粗利は減る」と学びました。人件費は原価そのもの。人を雇うということは、粗利を大きく圧迫するということです。

セカヤサ
セカヤサ
「外注すればいい」も同じ話です。マーケティング代行に月20万円、SNS運用代行に月15万円…と積み上げると、あっという間に月の粗利を超えます。まずは自分でできるようになることが先です。

理由②:経営の主導権を握られるリスクがある

コスト以上に怖いのが、こちらのリスクです。

経営において重要な領域を他人に任せるということは、自分の意思ではなく、任せた人間の意向に従わなければならない場面が出てくるということです。

「マーケティング全部任せてるから、あの人が辞めたら集客が止まる」——こうなったら、もはやあの人の言いなりです。報酬を上げろと言われても断れない。方向性が合わなくても口出しできない。

「でも、リファラル採用(知人紹介)で信頼できる人を見つければコストも抑えられるし、大丈夫じゃない?」

たしかに、リファラル採用で金額面の問題は解決できるかもしれません。しかし、主導権リスクをゼロにすることはできない。信頼関係は万能ではないからです。

これは僕の妄想ではありません。歴史的な事例があります。

スティーブ・ジョブズは、自分が創業したAppleから追放されたことがあります。

ジョブズは経営の一部を任せた人物との方針対立によって、自ら創った会社を去ることになりました。創業者ですらこうなるのです。フリーランスが重要な経営機能を他人に預けたらどうなるか——想像は難くないはずです。

最悪の場合、事業を丸ごと乗っ取られる可能性すらある。

セカヤサ
セカヤサ
僕の知人にも、集客をパートナーに完全に任せていたら、ある日そのパートナーが独立して顧客リストごと持っていかれた…という人がいます。信頼していただけにダメージは大きかったようです。

3. 4領域はどう連携しているのか

「自分でやるべき」とは言っても、4つを完全にバラバラに学ぶ必要はありません。むしろ、4領域のつながりを理解すること自体が経営力です。

このシリーズで学んできた内容を4領域に当てはめると、こう整理できます。

つまり、このシリーズで学んできたことは全部つながっている。4領域を「別の専門分野」として構えるのではなく、「経営の4つの顔」として自分の中に統合する意識が大事です。

4. まずは「全部60点」を目指す

「4領域を全部自分でやれ」と言うと、「全部を完璧にしろ」と聞こえるかもしれません。

違います。

まずは「全部60点」で回せるようになればいい。戦略は100点だけどマーケティングは0点——これでは事業は動きません。どの領域も致命的な穴がない状態を作ることが先決です。

60点で回せるようになったあとに、特定領域をさらに伸ばす。あるいは、自分の弱い部分をツールや仕組みで補う。その段階で初めて外注や委託を「戦略的に」使えるようになります。

順番が逆なんです。自分で理解していないものを人に任せたら、その仕事の良し悪しすら判断できない。発注力は「自分でできる力」の上にしか成り立ちません。

5. まとめ

というわけで、経営者がやるべき4領域について解説しました。

  • 経営者が担うべきは「経営戦略・マーケティング・ファイナンス・PR」の4領域
  • 「できる人を仲間にすればいい」は一見合理的だが、コスト問題主導権リスクがある
  • リファラル採用でコストを解決しても、主導権リスクは消えない(ジョブズでさえAppleを追われた)
  • まずは全領域を60点で回せる力をつけること。外注は「自分でわかる」状態になってから

4つの領域が見えたら、次に必要なのはそれを具体的な計画に落とし込むことです。次回は、事業の方向性と行動を一枚の地図にまとめる「事業計画」について解説します。

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