この記事の3行まとめ
- ビジネスにおいて、あなたは必ずしも業界No.1の「プロフェッショナル」である必要はない。
- 顧客(ターゲット)より少しでも知識やスキルが高ければ、それは立派な「エキスパート」である。
- 「相対的な優位性」を理解し、自分の強みを活かせるターゲットを選ぶことが、自信を持ってビジネスをする鍵。
1. 導入:「私なんかが教えていいの?」という不安
「自分よりすごい人はごまんといるし…」
「まだ実績も少ないのに、プロなんて名乗れない…」
起業や副業を始めたばかりの頃、多くの人がこのような「自信のなさ」に直面します。
これは心理学で「インポスター症候群(詐欺師症候群)」と呼ばれる心理状態で、「自分の成功は実力ではなく運のおかげだ」「いつか化けの皮が剥がれるのではないか」と不安を感じてしまう現象です。
参考リンク:インポスター症候群とは?(カオナビ人事用語集)
しかし、ビジネスを始めるのに「業界トップの実力」や「完璧な知識」は必要ありません。
必要なのは、「エキスパート理論」という考え方を理解することです。
2. 「プロフェッショナル」と「エキスパート」の違い
ビジネスの世界では、専門家を以下の2つに分けて考えると、精神的なハードルが劇的に下がります。
| 項目 | プロフェッショナル(絶対的) | エキスパート(相対的) |
|---|---|---|
| 定義 | その道を極めた職人、業界の第一人者 | ターゲットより知識・経験がある人 |
| 比較対象 | 業界全体、ライバル | 目の前の顧客(ターゲット) |
| 価値基準 | 絶対的な技術力の高さ | 顧客の問題を解決できるかどうか |
| 必要な能力 | 100点満点のスキル | 顧客より「半歩先」を行く経験 |
多くの人は「プロフェッショナル」を目指そうとして挫折します。しかし、ビジネスとして収益を上げるために必要なのは「エキスパート」としてのポジションです。

3. 「家庭教師」に学ぶ相対性の原理
エキスパート理論を最も分かりやすく説明できるのが「家庭教師」の例です。
例えば、あなたが「算数が苦手で、九九が覚えられない小学生」の家庭教師をするとします。
この時あなたに求められるのは「数学の教授」レベルの知識でしょうか?
いいえ、違います。「九九を完璧に理解しており、それを小学生に教えられる能力」があれば十分です。
小学生(ターゲット)から見れば、九九ができるあなたは間違いなく「算数の先生(エキスパート)」です。
たとえあなたが微分積分を忘れていても、顧客である小学生の悩み(九九ができない)を解決できるなら、そのビジネスは成立します。
これが「相対性の原理」です。
ビジネスは「誰に」提供するかによって、求められるレベルが変わります。

4. ターゲットを絞れば、誰でも「先生」になれる
「実績がない」と嘆く人は、無意識にターゲットを「自分と同レベルの専門家」や「業界の権威」に設定してしまっています。これではいつまで経っても自信は持てません。
ターゲットを「過去の自分」や「初心者」に設定してみてください。
- Webデザイン:
- × プロのデザイナー向けに高度な技術を教える
- ○ 「バナーを自分で作りたいけれど、ツールの使い方が分からない個人事業主」にCanvaの使い方を教える
- ダイエット:
- × ボディビルダー向けに大会優勝メソッドを教える
- ○ 「最近お腹が出てきたけれど、運動する時間がない40代会社員」に自宅でできる5分ストレッチを教える
初心者にとっては、専門用語を並べる大学教授よりも「自分の悩みに寄り添って、分かりやすく教えてくれる先輩」の方が価値が高いのです。
5. アクションプラン
あなたの中にある「エキスパート」の種を見つけましょう。
- 「当たり前にできること」を書き出す:あなたにとっては簡単でも、周りの人が「すごいね」「どうやるの?」と聞いてくることはありませんか?(例:スマホの操作、整理整頓、資料作り)
- ターゲットを下げる(絞る):そのスキルを「喉から手が出るほど知りたい」と思っている初心者は誰ですか?
- 「先生」と名乗る:勇気を持って肩書きをつけましょう。「〇〇専門家」「〇〇アドバイザー」。名乗ることで責任感が生まれ、知識も後からついてきます。
権威性は、作れる。
まずは「特定の誰かにとってのヒーロー」になることから始めましょう。
6. まとめ
- 「すごい人」になる必要はない。「顧客より詳しい人」になればいい。
- 実績不足を感じるのは、比較対象を間違えているから(インポスター症候群)。
- ターゲットを「初心者」や「過去の自分」に設定すれば、あなたは今日から「エキスパート」になれる。
エキスパートとしてのポジションを確立したら、次は収益性を高めるステップです。
次回は、顧客数を増やさずに売上を劇的に伸ばす「アップセル・クロスセル」の技術について解説します。
👉 Next

