07. アップセル・クロスセル:客数を増やさずに売上を倍増させる技術

07. アップセル・クロスセル:客数を増やさずに売上を倍増させる技術

この記事の3行まとめ

  1. 売上を上げるために「新規客」ばかり追いかけるのは非効率。「客単価」を上げる方がはるかに簡単で利益率が高い。
  2. アップセル(より高いものを)クロスセル(セットで)は、顧客満足度を高めながらLTVを最大化する必須テクニック。
  3. 提案のタイミングは「購入決断の直後」がベスト。「ご一緒にポテトはいかがですか?」は魔法の言葉。

1. 導入:売上が伸び悩む本当の理由

「もっと売上を上げたい!」と思ったとき、多くの人は「もっとたくさん客を集めなきゃ」と考えます。
しかし、新規顧客の獲得コスト(CPA:Cost Per Action/Acquisition)は既存顧客への販促コストの5倍もかかると言われています(1:5の法則)。

賢い経営者がまず着手するのは、集客ではなく「客単価のアップ」です。
目の前にいる顧客に、あと1品、あるいはあと少し良い商品を手に取ってもらう。これだけで広告費をかけずに利益を劇的に増やすことができます。
そのための具体的な手法が「アップセル」「クロスセル」です。

セカヤサ
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手法さえ知っていれば誰でも出来るテクニックです。

2. アップセルとクロスセルの意味と違い

言葉は似ていますが、その意味と顧客へのアプローチ方法は明確に異なります。以下の表で違いを整理しましょう。

項目アップセル(Up Sell)クロスセル(Cross Sell)
意味検討中の商品より上位の商品を提案する検討中の商品と関連する商品を提案する
イメージ「グレードアップしませんか?」「ご一緒にいかがですか?」
目的単価そのものを引き上げる買上点数を増やす
例(航空券)エコノミー → ビジネスクラス航空券 + ホテル・レンタカー予約

3. アップセル・クロスセルの身近な具体的事例(牛丼屋・Amazon)

私たちの日常は、この2つの戦略で溢れています。牛丼チェーン「松屋」の券売機を想像してみてください。

アップセルの例

あなたが「牛めし(並盛)400円」のボタンを押そうとしたとき、画面には何が表示されるでしょうか?
「お得なセット」や「大盛への変更」が魅力的な写真と共に表示されます。

  • 並盛(400円) → 大盛(550円)
    • これがアップセルです。「お腹が空いているなら、少し足して満足感を高めませんか?」という提案です。

クロスセルの例

注文確定画面に進む前、必ずこう聞かれます。
「ご一緒に生卵やサラダはいかがですか?」

  • 牛めし(400円) + 生卵(80円) + サラダ(120円)
    • これがクロスセルです。メイン商品(牛丼)をより美味しく、健康的に楽しむための関連商品の提案です。

もし400円の牛丼だけを売っていたら、売上は400円です。
しかし、大盛にして(+150円)、セットをつければ(+200円)、客単価は750円になります。
客数は同じ1人でも、売上は約2倍になるのです。

4. なぜ「セット販売」は嫌がられないのか?

「高いものを売りつけたら嫌われるのでは?」と心配する人がいます。
しかし、適切なタイミングでの提案は、むしろ「親切」として受け取られます。

  • マクドナルド: 「ご一緒にポテトはいかがですか?」と言われて怒る人はいません。「あ、そういえば食べたいな」と気づかせてくれるサービスとも言えます。
  • Amazon: 「この商品を買った人はこんな商品も買っています」というレコメンドは、買い忘れ防止や新しい発見につながります。

重要なのは、「顧客のメリット(より良い体験)」を提示することです。
ただの押し売りではなく、「これを合わせるともっと便利ですよ」「こちらの方が長持ちして結果的にお得ですよ」という専門家としての提案であれば、顧客は喜んで財布を開きます。

セカヤサ
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押し売りにならないような商品設計をしておくことも重要です。自分が納得して、自信を持っておすすめしたいと思えるラインナップを常に持っておきましょう。

参考リンク:アップセル・クロスセルとは?違いや成功させるコツを事例を交えて解説(朝日新聞)

5. アクションプラン

あなたのビジネスに「単価アップ」の仕組みを組み込みましょう。

  1. 商品ラインナップを見直す(松竹梅を作る)
    • 商品が1つしかないとアップセルできません。標準プラン(竹)に加え、上位プラン(松)を用意しましょう。
  2. 関連商品を用意する
    • メイン商品を買った人が「次に欲しくなるもの」は何ですか?(例:革靴を売るなら靴磨きクリーム、Web制作ならサーバー保守)
  3. 提案のタイミングを決める
    • 最も成約率が高いのは「購入を決断した直後(財布の紐が緩んだ瞬間)」です。決済画面や契約書へのサインの直前に、さりげなく提案するトークスクリプトを用意しましょう。

6. まとめ

  • 新規集客よりも、既存客の「単価アップ」の方が効率よく利益を上げやすい。
  • アップセル(上位版)とクロスセル(セット版)を意図的に設計する。
  • 提案は「押し売り」ではなく、顧客体験を向上させる「親切な案内」である。

単価を上げて利益を確保したら、次はその利益をどう安定させるかが課題になります。次回は、ビジネスの安定性を左右する2つの収益モデル「インカムゲイン・キャピタルゲイン」について解説します。

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