この記事の3行まとめ
- GPCSは、Goal(目標)→ Problem(問題)→ Cause(原因)→ Solution(解決)の順に進める問題解決フレームワーク。目標達成できなかったときに、表面的な対処ではなく本質的な解決を導く。
- 多くの失敗は、ProblemとCauseを飛ばして「いきなりSolution(手段)」から始めることが原因。「売上が足りない(P)からインスタをやろう(S)」など、原因分析なき解決策は効果が薄い。
- Problemは「GoalとCurrent(現状)のギャップ」と定義し、Cause(原因)をMECE(漏れなくダブりなく)の思考で洗い出すことで、精度の高いSolutionが導き出せる。
1. 導入:「また同じ失敗を繰り返してしまった…」
「今月も売上目標に届かなかった…」
「前回と同じ問題がまた起きた…」
経営を続けていれば目標を達成できないことは多々あります。
問題なのは、同じ失敗を繰り返すことです。
多くの経営者は、問題が起きるとすぐに「何か対策をしなければ」と焦り表面的な解決策に飛びつきます。
「売上が足りないから広告を増やそう」「集客が悪いからSNSを始めよう」というように原因を深掘りせずに行動してしまう。
しかし、これでは根本的な解決にはなりません。
時間と労力を費やしてもまた同じ問題が再発するだけです。
この記事では、目標達成できなかったときに問題の本質を捉えて解決するためのフレームワーク「GPCS」を解説します。
2. GPCSとは何か?
GPCSは、問題解決を体系的に進めるための4ステップのフレームワークです。
- G:Goal(目標・ゴール) – 何を達成したいのか?
- P:Problem(問題) – 目標と現状のギャップは何か?
- C:Cause(原因) – なぜその問題が起きているのか?
- S:Solution(解決策) – どうすれば解決できるのか?
この順序を守ることが重要です。
多くの人が犯す失敗はProblemとCauseを飛ばして、いきなりSolution(解決策)から始めることです。
GPCSとPDCAサイクルの関係
GPCSはPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)の「Plan(計画)」フェーズをより構造化したものと捉えることができます。
- PDCA: 計画を立てて実行し、評価して改善する循環プロセス
- GPCS: 計画を立てる前に問題の本質を正確に把握するための思考プロセス
GPCSで問題の本質を捉えてからPDCAサイクルを回すことで、効果的な改善が可能になります。
裏を返せば、GPCSを怠ったPDCAは間違ったサイクルを回す危険性があるということです。

3. GPCSの各ステップを詳しく解説
Step 1:Goal(目標・ゴール)の明確化
「何を達成したいのか?」を明確にします。
目標は具体的で測定可能なものである必要があります。
曖昧な目標ではProblem(問題)を正確に特定できません。
良い目標の例:
- 今月の売上を100万円にしたい
- 新規顧客を20名獲得したい
- 顧客満足度を90%以上にしたい
悪い目標の例:
- もっと売上を上げたい(具体的でない)
- お客さんに喜んでもらいたい(測定不可能)
- ビジネスを成功させたい(曖昧すぎる)
Step 2:Problem(問題)の特定
「目標と現状のギャップは何か?」を明確にします。
ここで重要なのは、Problemは単なる「困りごと」ではなく「GoalとCurrent(現状)のギャップ」として定義することです。
例えば、目標が「今月の売上を100万円にしたい」で、現状が「70万円」の場合:
- × 問題:「売上が低い」
- ○ 問題:「目標100万円に対して、現状70万円で、30万円のギャップがある」
このように、数値化できるギャップとして表現することでProblemが明確になります。
Step 3:Cause(原因)の究明
「なぜその問題が起きているのか?」を深掘りします。
ここが最も重要なステップです。
表面的な原因ではなく根本原因(Root Cause)を見つけることが、本質的な解決につながります。
原因究明のコツ:
- 「なぜ?」を5回繰り返す(5 Whys)
- 問題が起きた理由を問い続けることで根本原因にたどり着く
- MECE(漏れなくダブりなく)で分類する
- 原因を網羅的に洗い出すためにカテゴリーごとに整理する
- ロジックツリーで構造化する
- 原因を階層的に分解し問題の全体像を把握する
例:売上が目標に届かない場合の原因分析
1売上が目標に届かない(Problem)
2├─ 新規顧客が少ない
3│ ├─ 広告が機能していない
4│ │ ├─ ターゲット設定が間違っている
5│ │ └─ 広告文が訴求力不足
6│ └─ 既存顧客からの紹介が少ない
7│ └─ 顧客満足度が低い
8└─ 既存顧客の単価が低い
9 ├─ アップセル・クロスセルができていない
10 └─ 商品ラインナップが限定的このように原因を構造化することでどこにアプローチすべきかが明確になります。

Step 4:Solution(解決策)の立案
「どうすれば解決できるのか?」を考えます。
ここで初めて解決策を検討します。
Cause(原因)が明確になっていれば、Solution(解決策)は自然と見えてきます。
重要なのは1つの原因に対して複数の解決策を検討することです。
そして、それぞれの解決策の効果とコストを比較し、優先順位をつけます。
4. よくある失敗パターン:「PとCを飛ばしてSから始める」
多くのプロジェクトや改善活動が失敗するのはProblemとCauseを飛ばして、いきなりSolution(解決策)から始めるためです。
失敗例:「売上が足りないからインスタをやろう」
- Goal(目標): 売上100万円
- Problem(問題): 現状70万円で30万円のギャップがある
- Cause(原因): 分析なし
- Solution(解決策): インスタグラムを始める
この場合、インスタグラムを始めることが本当に最適な解決策なのか、検証されていません。
原因が「新規顧客の獲得不足」なのか、「既存顧客の単価が低い」のかによって、解決策はまったく異なります。
- 原因が「新規顧客の獲得不足」→ SNS集客は有効かもしれない
- 原因が「既存顧客の単価が低い」→ アップセル・クロスセルを強化すべき
正しいアプローチ:GPCSで分析してから解決策を選ぶ
- Goal(目標): 売上100万円
- Problem(問題): 現状70万円で30万円のギャップ
- Cause(原因): 既存顧客の単価が平均3万円で、目標単価5万円に届いていない
- Solution(解決策): アップセル・クロスセルの仕組みを導入する
このように、原因を明確にしてから解決策を選ぶことで効果的な改善が可能になります。
5. GPCSの実践例:売上目標を達成できなかった場合
実際のビジネスシーンでGPCSをどう使うか、具体例を見てみましょう。
例:Web制作のフリーランスの場合
Step 1:Goal(目標)の明確化
「今月の売上を150万円にしたい」
Step 2:Problem(問題)の特定
現状の売上:100万円
ギャップ:50万円
Step 3:Cause(原因)の究明
MECEで原因を分類すると:
- 新規受注数が少ない
- 今月の新規受注:2件(目標は4件)
- 原因:営業活動が不十分 / 既存顧客からの紹介がない
- 既存案件の単価が低い
- 平均単価:50万円(目標は60万円)
- 原因:見積もりの精度が低い / 追加対応が発生している
- 既存案件の進行が遅れている
- 今月納品予定だった案件が来月に持ち越し
- 原因:作業時間の見積もりが甘い / 依頼内容の確認不足
Step 4:Solution(解決策)の立案
優先順位をつけて解決策を実行:
- 最優先:既存案件の単価向上
- 見積もり時に詳細ヒアリングを徹底する
- 追加対応は別途見積もりとして提示する
- 次点:新規受注数の増加
- 既存顧客に紹介依頼を行う(成功報酬を設定)
- 営業活動の時間を週10時間確保する
- 並行実施:進行管理の改善
- 作業時間の見積もりにバッファを設ける
- 進捗報告を週次で実施する
6. GPCSを効果的に使うためのポイント
ポイント1:やりすぎない
GPCSは問題解決のためのフレームワークですが、やりすぎるとキリがありません。
原因を深掘りしすぎるとどんどん抽象的になり、解決が難しくなります。
例えば、「売上が低い」→「経営が悪い」→「経営者の能力が低い」→「教育システムが悪い」→「社会システムが悪い」…と、どんどん原因が抽象化されていきます。
自分の中で「ちょうど良いポイント」を見つけることが重要です。
一般的には、自分でコントロールできる範囲の原因まで掘り下げるのが適切です。
ポイント2:データに基づいて判断する
ProblemとCauseの特定は感覚ではなくデータに基づいて行います。
「なんとなく売上が低い気がする」ではなく、「目標100万円に対して現状70万円」というように数値で表現することで、Problemが明確になります。
ポイント3:定期的に振り返る
GPCSは目標達成できなかったときの振り返りだけでなく定期的な改善活動にも使えます。
例えば月次でGPCSを実施することで小さな問題を早期に発見し、大きな問題に発展する前に解決できます。
7. アクションプラン
GPCSを実践してみましょう。
- 最近達成できなかった目標を1つ選ぶ
- 今月の売上目標、新規顧客獲得数、プロジェクトの納期など
- Goal(目標)を明確にする
- 数値で表現できる目標にする
- Problem(問題)を特定する
- 目標と現状のギャップを数値で表現する
- Cause(原因)を洗い出す
- MECEで分類し、ロジックツリーで構造化する
- ただし、やりすぎない。「自分でコントロールできる範囲」まで
- Solution(解決策)を立案する
- 原因ごとに複数の解決策を検討
- 効果とコストを比較して優先順位をつける
- 実行して効果を検証する
- 解決策を実行し、次回のGPCSで改善効果を確認する
8. まとめ
- GPCSは、Goal(目標)→ Problem(問題)→ Cause(原因)→ Solution(解決策)の順に進める問題解決フレームワーク。
- 多くの失敗はProblemとCauseを飛ばして、いきなりSolutionから始めることが原因。
- Problemは「GoalとCurrent(現状)のギャップ」として数値で表現し、CauseはMECEで分類・構造化する。
- 原因を深掘りしすぎると抽象的になるため自分でコントロールできる範囲まで掘り下げる。
- 定期的にGPCSを実施することで、問題を早期に発見し、本質的な解決が可能になる。
問題の本質を捉えて解決する力を身につけたら、次はその解決策を「より効率的に実行する方法」を学びましょう。
次回は、少ない労力で大きな成果を得る「レバレッジ」について解説します。
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